「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ緑ニハ勝ッテ エンジョイ昇格」スタジアムに着き、ふと目をやるとそんな横断幕が目に飛び込んできた。果たして、昨年のこの時期にそんな横断幕があっただろうか。たった1年という期間で横浜FCは常人の想像を遥かに凌駕する進化を遂げた。
その一方で、「1年で昇格」という目標を達成することが出来なかった東京ヴェルディ1969。Jリーグ創成期、「常勝軍団」と呼ばれ、他を圧倒する華麗なサッカーを展開していたあの頃の面影はもはや無い。 昇格というモチベーションを失ったヴェルディの拠り所は「プライド」と「義務」であろう。プロのサッカー選手としてやすやすと負けるわけにはいかない「プライド」、降りしきる雨の中、三ツ沢まで足を運んできてくれたサポーターに対する「義務」・・それだけが選手も気持ちを突き動かしていた。 J1で3位と優勝を狙える位置にいた川崎フロンターレを退団しJ2東京ヴェルディにやってきたマルクス。JFLの本田技研から日本でのキャリアをスタートさせた異色のフットボーラーは雨でスリッピーな状態になっていたピッチを利用してグラウンダーのボールを蹴り、直接FKを決めた。また攻守に渡り献身的な働きを見せ、チームを牽引した。 ヴェルディユースから明治大学へ進学、そして再びヴェルディへと戻ってきた戸川健太。ユース時代にキャプテンを務めた経験を持つ彼のキャプテンシーは、ヴェルディ最大の不安要素とも言えるディフェンスラインの構築において発揮された。城に入るくさびのボールへの厳しいチェック、そしてより高い位置でボール奪取し、次の攻撃へと繋げる「攻めるディフェンス」、アレモンを何度もオフサイドにしたラインコントロール・・この日のヴェルディの守備は、彼なしでは成り立たなかった。 ヴェルディユースからの生え抜き選手で、チームの副キャプテンを務める平本一樹。久々のスタメンとなったこの試合、彼の動きはキレていた。切れ味鋭いドリブルが怒涛のように横浜FCを襲う。 試合後ラモス監督は「プライドを持って、負けたとしても「よくやったな」という気持ちで皆さん(サポーターやマスコミ)に見てもらいたくて・・・」と語った。皮肉にも、J1昇格を逃したことでヴェルディの中で眠っていた「プライド」が呼び覚まされた恰好となった。 その一方で、試合に敗れた横浜FC。この試合で勝ち点を奪えなかったことは想定外だっただろう。雨により悪化したピッチコンディション、左サイドのキーマン・アウグストの怪我など敗因として様々なファクターが挙げられるが、監督・選手ともに敗戦に伴うプレッシャー、焦りはさほど見られないようだ。高木監督は「大きな何かが圧し掛かって、体が動かないとかプレーが出来ないということはない」と言い切り、選手達は口々に「次へ向けて切り替える」と語った。 菅野、内田といった若い選手達が昇格争いという極限の緊張感の中でも安定したパフォーマンスを見せられるのは、カズ、山口、城といった酸いも甘いも知り尽くし、「勝者のメンタリティー」を備えたベテラン選手の影響、そしてチームが勝利という「結果」を出し続けたことでチームに「自信」が芽生えたことによる影響が大きいだろう。昇格へ向けて、横浜FCに不安は全く見られない。 <編集タハラ>
by copamagazine
| 2006-11-12 02:14
| 『J』 league
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